企業は金なり

先日、会社の上長がこんなことをいいました。

"企業は人なり"。長年働いて分かったことだけど、これは嘘だ。
結局"企業は金なり"。私たちは給料で生きているのだから。

なるほど、と思いました。
実際、私も一時期お金がなく苦労した経験がありました。
金欠は人間の視野を狭めます。そして思考をマイナスにします。
「自分は生きる価値などないのではないか?」
「貯金をセーブするために一気に買い物しよう」
こういう思考に陥りだし、金欠のスパイラルに陥ります。

そうした意味で、お金の存在は最も必要なものかもしれません。
よく"愛と金どちらが大事か?"という究極の二択がありますが、
金がなければ愛は生まれない(ex:デートに行けない、モノが買えないetc)
という風に考える人も多いと思います。実際私もそう思います。

 

話は大きく変わりますが、
2019年に入ってからというものの、不穏な事件が相次いでいます。
その中でもエンターテインメント業界は大きく揺らいでいるなと感じます。

年始にあったNGT48騒動では、メンバーのいじめと告発、
運営がいじめられたメンバーを保護せず緩慢な対応をとったことなどが問題となり、
大変もやもやした気持ちで、強引な解決を見守りました。
最近では、社員である芸人たちを突っ放して拝金主義に走る吉本興業
社員に告発される形で問題となりました。

そして、少し趣向が違うかもしれませんが
京都アニメーション放火事件」。
京都アニメーションに知り合いなど一人もいない私ですが、
私の中に立っていた大樹が、存在なきものにされてしまったような気持ちです。
あれから数日経った今も、いつも通りの日常生活を送る多くの人たちの裏には
灰色の空を無心で見上げている自分がいることかと思います。

この火災で、世界各国のあらゆる著名人・著名企業がSNSで哀悼の意を示しました。
その数を比べることは無礼ですが、国内で起きた災害や一般企業の事故に比べても
大変多くの人・会社が、祈りを捧げているように感じます。

 

私はこれについて、”そこに文化があるから"だと思っています。
ニュースで幾度も報道されている通り、
京都アニメーションはアニメ文化を明文化にした張本人です。
アニメという共通言語を基にコミュニティを形成した/された人が世界中にいます。

同時に、そこにはその文化を作り上げる""がいます。
今回のように文化を作る人間が消えてしまうことは、
すなわち、文化がそこで止まってしまうこと。
この"人が消えることは、文化が消えることと同じ"という仕組みについて
分かっているからこそ、私たちは嘆き苦しんでいるんだと思います。

 

ただし、そのような認識を一人一人が踏まえているにも関わらず、
日本企業や社会が主体となった途端、この視点は隠されてしまうようです。

近年では、労働問題、過労死などを筆頭として
""をぞんざいに扱う企業の問題が浮き彫りになっています。
でも本来、会社という存在は(あるいは社会という存在は)
そこに人が居ないと成り立ちません。
"人が消えることは、会社(社会)が消えることと同じ"です。
こんな当たり前のこと、誰でも知ってるはずなんですが、
多くの企業はこれに気付かぬまま今に至っています。

この背景には、特に人口増加が影響していると考えます。
人が増えれば必然的に"工数"が増えますから、
結果的にお金が回って豊かになっていく―
この繰り返しは、"企業は金なり"という刷り込みを
より深いものにしたのだと推測します。

 

話は戻りますが、冒頭の上長の話に対して私がもし反論するならば、

企業は金なり、これはまやかしだ。
人口が増加し、豊かになり、情報が発達し、
結果的に"人財"ではなく"人材"に見えていただけだ。
あなたたちが金を信仰し続けた結果、
現にこの会社は”人材不足"に悩んでいるのではないか?

という旨を話すと思います。

どの企業も"人材"不足に悩まされる中、
根本の原因は、企業が人をありふれたものだと捉え続けたことによるツケなのです。
新しい技術を吸収して効率化したり、ゆとりある職務内容にして、
人口増減を加味すべきだったのです。

そんな最中、私たちは、クリエイターや技術者をもありふれた"人材"だと捉えました。
現に技術者が次々に海外に抜き取られている現実があります。
そしてリテラシーのない会社が全世界に晒され、恥をかいています。
昨今のエンターテインメント業界を揺るがす問題は、こうした
一般企業に溢れ出た”人材"問題が、いよいよ噴出したに過ぎないのだと思います。

 

ですから、私たち"人財"と企業は今一度話し合うべきだと考えます。
会社は"人財"が動かしていることを企業は認知すべきですし、
私たちは"人材"ではなく、
企業と社会を動かすことの出来る"人財"であることを認知して
何が出来るかを一考する時間が迫っていると考えます。

これは文化を司る企業にとっても同じことが言えます。
先の吉本興業をはじめ、クリエイターの賃金未払い問題なども露わになる今、
このまま人財を放置し続けることは、端的に言って文化を消滅させることと同義です。
そして、文化なき社会に豊かさなどありません
豊かさを作り上げるために、文化は絶対に加護すべきなのです。

また、政治サークルと化していたり、企業と仲良しごっこをしている労働組合は、
最早社会にとっては何の役にも立たないクズに過ぎず、今すぐ抹消すべき存在です。
労働組合はそれを監視する組織がない以上、サークル化しやすい状況にあり、
なおかつ世代人口が偏ってしまうという致命的な問題を抱えていますが、
その是正も叫ばれるべきだと思います。

一部の方は驚くかもしれませんが、私の会社ではメールは使いません。
未だにFAXか電話でしかコミュニケーションが取れません。
沢山の人のスケジュールを管理する職務内容にありながら、
こんな非効率なやり方をしているので、アホほど残業しなければなりません。
どう考えてもこの効率性が収益や、ひいては"人材"の退職率に関わると思うのですが、
そんなことを把握していない会社が"企業は金なり"だと言うのです。

ですから、私はこの会社を辞めることにしました。

 

To be continued==>